「99.9-刑事専門弁護士-」のシーズンⅠ第一話の冒頭部分で松本潤が演じる弁護士深山大翔らが移動時間を計測する再現実験のシーンがあります。
当時、私はまだ大学生で自分が将来弁護士になって刑事弁護をやるとは思っておらず、ドラマも普段見ない自分でしたが、松本潤のファンである母親から面白いと勧められて試しに見てみたら、自分も99.9にハマったことを覚えています。
深山弁護士が行ったような、スポーツカーに乗って、さらにスピード違反でオービスまで作動させる大掛かりな再現実験と比較するのもおこがましいですが、先日、自分も弁護人として再現を行った事件がありました。
それは、控訴審から私が弁護人に選任された窃盗事件でしたが、起訴事実が実現可能かについて、犯行に使われた物品と同じ型番の物品をネットで購入する等して、被害状況を再現してみたところ、起訴事実と同じ犯行をすることが不可能なことが明らかになったという事件でした。
このことについて、弁護人自身で写真撮影報告書を作成し、証拠提出したところ、下記のとおり被害者供述部分について、弁護人による再現結果に照らして、信用性は乏しいとされました。

これにより、事実誤認を理由に原判決破棄となり、刑期が短縮された結果、これに勾留日数が刑期に満つるまで算入され、判決日に釈放となりました。
もし、弁護人による再現がなかったならば、原判決が控訴審でも維持され、本人が刑務所に行くことになっていたと考えると、改めて弁護人による再現の重要性を認識しました。