福田博『「一票の格差」違憲判断の真意』を読みました。

  • 2016/05/04
  • 宮本ブログ

福田博『「一票の格差」違憲判断の真意』を読みました。

著者は,東京大学法学部卒業後,外務省に入省し,その後,1995年から2005年まで最高裁判事をされていた方です。同書は,定数訴訟や最高裁に関する話がメインであり,一般の人にはとっつきにくいところもあるかもしれませんが,それ以外の記述中にも,とてもおもしろい,大変参考になることが書いてありましたので,一部抜粋。

・「中学三年生の秋,東大生の主催する模擬テストを受けたら軒並み0点をとった。それまで何もしてないからです。…結局その時に私が何をやったかというと,それまで開いていなかった中学一年から三年までの教科書を,一年のものから順番に全部読んだんです。それで,一冊を一ページに収めるという感じで要約する。…それを丸暗記しました。そして試験を受けたら,割合いい成績でした。模擬テストでは0点だったのに,一〇〇点を取った科目もありました。」(20頁)
― 要約ノートを作成するという勉強法は,我妻栄『民法案内』にも紹介されていたはず。私の大学院時代に,ある教授が「教科書に線を引いているだけで頭に入ってくるなら,誰でも教授になれますよ。」という趣旨の発言をされていたのを急に思い出しました(笑)。

・「ロースクールでは,ケースブックを速く読めないとついていけない。速読みでないと,自然に成績が悪くなる。だから,テストする。…私は,ルームメイトのアメリカ人より読み方がずっと速かった。…私は日本語でも読むのははやいようです。一時間に一〇〇ページぐらいは読みます。…日本語はいわゆる斜め読みです。英語は真ん中だけを読みます。横書きの真ん中だけを読む。そして,絶対に前に戻らないのがコツです。…速読というのは,あくまでも中身にどういうことが書いてあるのかを理解するということですから,…。」(41~43頁)
・「(一九九五年に最高裁判事着任の準備として,アメリカの判例集を五日間で一七〇〇ページ読破されたとか。という質問に対して)コンスティテューショナル・ロー(憲法)のケースブックを読みました。…最高裁に行って,少なくとも自分が貢献できるとすれば憲法の分野だろうと思った。それで憲法について,アメリカのハーバード・ロースクールにたまたま知り合いがいたので,「憲法の教材に何を使ったのか」…と尋ねた。」(115頁)
― 一流の人は,相当なキャリアを積まれても,勉強量,読書量がすごい。。自分が嫌になります。反省。~

他にも,日本の学会に対する批判,イェール・ロースクール時代のお話,集団的自衛権に関する見解,最高裁判事に就任されてからのお話,定数訴訟で反対意見を出すまでの過程,調査官制度の問題点(特定の調査官に対する批判も?),民主主義についてなど,法律を勉強をしている人や法曹にとって,興味深いお話しか書かれていません。

一気に読みました。おすすめです。

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