妻より夫の監護意欲・監護態勢が優っているとして,夫を子の監護者と指定した事例

  • 2016/06/09
  • 宮本ブログ

今回,ご紹介する事例は,福岡家裁平成26年3月14日審判(判例タイムズ1412号387頁)です。

事実関係(一部)を時系列にして整理しました。
H19 申立人(夫,昭和49年生まれ)は相手方(妻,昭和56年生まれ)と婚姻した
H19 長女誕生
H22 長男誕生
H25 相手方から離婚の申し出→相手方は未成年者らを連れて別居
H25 申立人が夫婦関係調整調停申し立てたが,相手方の精神状態が悪化し協議が困難となったために取下げ
H25 子の監護者指定及び子の引き渡しを求める調停申立て→審判手続へ移行

申立人(夫)を未成年者らの監護者と指定した理由について,以下のとおり述べられています。

 上記認定事実によれば,相手方は,別居時までは,未成年者らの主たる監護者であり,特段の問題がなく監護を行っていたものではあるが,別居後は,約半年以上にわたり,未成年者らの監護をもっぱら相手方家族に任せて,自らはほとんど関わっていない状態にあり,監護意欲が著しく低下しているものと認められる。そして,相手方家族は,それぞれの可能な範囲で,部分毎に未成年者らの監護に関わっているものの,未成年者らの生活全体を通してその世話や躾をしている者はなく,そのため,未成年者らは,規則正しい生活を送り,年齢に応じた適切な指導(躾)や知的な刺激を受けることが,心身の健全な発育上重要な年齢であるにも関わらず,起床・就寝時間や食事時間が遅く(特に長女については,起床時間が正午過ぎとなったり,就寝時間が頻繁に深夜を回るなど,生活リズムの乱れが顕著である。),菓子で食事を代替するなどの不規則な生活を送り,これを是正するための躾を受けることもなく,日中も監護者に構われることもなく,ほとんど未成年者ら2人のみでテレビやゲームで遊ぶという生活が日常化しているのであり,そのような監護状況が未成年者らの発育上好ましくないことは明らかである。そして,長女は,平成26年×月以降小学校に入学すべきところ,相手方はその手続をしておらず,相手方の現在の精神状態に照らして,今後も相手方の監護下にあった場合には,同手続がされる見込みは認められない。
 これに対し,申立人は,現在も,週5日フルタイム勤務をしているものの,保育園や小学校及び学童保育等の今後の未成年者らの平日の滞在先を確保する手続を済ませ,自らの勤務時間,休日,勤務内容等も未成年者らの登園・帰宅時間や休日に合うように調整するなどして,適切な監護態勢を具体的に整えており,その監護意欲も高いものと認められる。また,申立人は別居後も未成年者らとの面会交流を継続し,両者の関係は良好であり,長女は,小学校への入学を楽しみにし,申立人との同居に積極的な意向を示している。なお,申立人は,相手方との同居時の主たる監護者ではなかったものの,未成年者らの食事を準備するなどして,休日等にはその監護に関わっていたものであるところ,その監護内容に問題とすべき点があったことをうかがわせる事情はなく,申立人の自宅の現状(申立人提出の写真)をみても,その現在の家事の遂行状況に特段の問題はうかがわれない。
 以上の申立人と相手方の監護意欲,監護態勢その他の事情を比較すれば,相手方の監護状況は適切ではなく,申立人の監護意欲及び監護態勢の方が優っているというべきであり,申立人を未成年者らの監護者として指定することが未成年者の利益に最も適うものと認められる。
 そして,相手方が未成年者らを監護中であり,相手方自身は,当庁家庭裁判所調査官に対し,申立人が未成年者らを養育できるはずがないと述べ,その引渡しを拒否するような態度を示していることに鑑みれば,相手方に対し,未成年者らを申立人に対して引き渡すよう命じるのが相当である。

以上です。

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