別居期間約1年半にもかかわらず,有責配偶者からの離婚請求が認められた事例

  • 2015/12/03
  • 宮本ブログ

札幌家庭裁判所平成27年5月21日判決(LLI/DB判例秘書掲載)です。

事実関係(一部)を時系列に整理しました。

H8.11.9 婚姻
H10 長男誕生
H12 長女誕生
H13頃 中古住宅購入
H20.11 妻が夫名義のカードを無断で使用し始める
H22.2頃 妻が夫に秘して200万円余りの借金をしていたことが発覚
H24.3頃 妻→夫「そんなにエッチがしたいなら,風俗店にでもいったら?」
H24.11頃 夫が他の女性と不貞行為(同年6月に知り合う)
H25.3上旬頃 複数の自動車やスノーモービルの所有・保管方法を巡り口論→妻が持ってきた離婚届に夫は署名押印したが,妻が直ちに破り捨てる
H25.7.9 妻が他の女性の存在を知る
H25.7.13 夫婦で離婚問題に関する話し合いを行ったが,妻が婚姻関係の継続を希望
H25.9.6 妻が自宅鍵の取換工事を行う,そのため夫は自宅に入れず
H25.10頃 夫が別居して,他の女性と同居開始(以前にも単身赴任中に同人と同居していたことはある)
H25.10.15 夫婦関係調整(離婚)調停申立て
H26.2.1 本件第1事件(夫から妻に対する離婚請求)提訴
H26.3.10 別居期間中の婚姻費用として夫が毎月25万円を支払う合意書を取り交わす

有責配偶者からの離婚請求の抗弁について,以下のように述べられています。

「2 有責配偶者からの離婚請求の抗弁について
(1)…本件婚姻関係の最も大きくかつ直接的な破綻原因は,原告X1の不貞行為にあるというべきであるが,被告Y1にも,杜撰な家計の管理や,安易で多額な原告X1名義での借金の繰り返し,原告X1に風俗店の利用を勧めるなどの配慮を欠いた言動に及んだこと,本件鍵取替後の一件等,本件婚姻関係の破綻に至る経緯において,一定程度の有責性があるというべきであり,その意味で,本件婚姻関係の破綻に関する原告X1の有責の度合いの高さは,被告Y1の有責の度合いの低さとの関係で相対的なものであるということができる。
(2) 次に,➀原告X1と被告Y1の婚姻期間は,本件口頭弁論終結時までで約18年半であるのに対し,原告X1が2度目の函館単身赴任を終えて札幌に戻ってきてからの別居期間が約1年半であることは前提事実から明らかであり,…
(3) もっとも,有責性の程度に関する評価は前記のとおりである上,➀別居期間は比較的短期間ではあるものの,別居に至った直接のきっかけは,被告Y1が,何らの予告なく自宅の鍵を取り替えて原告X1が自宅に戻ることを不可能にする実力行使に出たことが原因であり,被告Y1において,積極的に原告X1との同居を拒むに至ったものというべきであること,➁子らは,未成熟子であるとはいっても,比較的年長者であること,➂経済的な状況については,原告X1においても,被告Y1の作った借金の返済を未だ続けており,かつ,被告Y1が,平成26年3月以降,原告X1の収入や本件借入の返済額に比して過分ともいうべき婚姻費用の支払を1年以上にわたって受け続けてきていること,客観的には,被告Y1において,未だ家計の切り詰めを十分にしたとはいえない状況であって,今後,相当程度の支出を圧縮することも可能であること,子らの年齢からいっても,被告Y1が稼働制限をしなければならないような状況にはないこと等を併せ考えると,本件の場合,被告Y1が,離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等,原告X1からの離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するということのできるほどの特段の事情を認めるには至らないというほかない(なお,…)。
(4) 以上によれば,本件婚姻関係はすでに完全に破綻するに至っており,「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)があるということができる上,原告X1からの離婚請求が,信義則上,許されないものということはできない。」

上記別居期間は,従来この種の離婚請求認容事例として紹介されてきた別居期間と比較するとかなり短期間です。事例判断である点,ご留意下さい。

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(写真は事件と関係ありません。)

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