セクハラ被害を受けて会社を辞めざるをえなくなった女性に対し6か月の逸失利益を認めた事例

  • 2016/09/02
  • 宮本ブログ

今回,ご紹介する事例は,東京高判平成20年9月10日(判例時報2023号27頁)です。

裁判で認められた事実関係(一部)を時系列にして整理しました。

H17年3月 被害者女性が和洋菓子の製造販売を行っていた会社に就職
時期不明 店長(男性)が被害者女性に対し,『頭がおかしいんじゃないの。』,『昨夜遊びすぎたんじゃないの。』,『僕はエイズ検査を受けたことがあるから,…さんもエイズ検査を受けた方がいいんじゃないか。』と発言
H18年1月 店長が被害者女性に対し,慰労会先へ行く途中,『処女にみえるけど処女じゃないでしょう。』と発言。さらに,慰労会において,『●×店にいる男の人と何人やったんだ。』,『何かあったんじゃない?キスされたでしょ?』,『俺にはわかる,知ってる。』などと発言し,被害者女性が泣き出した。店長が,2次会のカラオケ店で,シャドウボクシングのまねごとを被害者女性に向かってした。
H18年7月 被害者女性が出勤拒否
H18年12月 訴訟提起

被害者女性の損害として以下のものが認められました。以下,「控訴人」が被害者女性のことを指します。

⑴ 慰謝料 50万円
⑵ 逸失利益 99万5616円
「本件において控訴人が被った精神的打撃とそれによる就労困難性を客観的に証明するに足りる証拠はないが…,控訴人は平成18年7月の時点でも退職を望んではいなかったこと…,控訴人の年齢(…当時成人になる前後であった。),控訴人の受けた困惑,恐怖等及び控訴人が被控訴人に退職を申し出た後の経緯等を総合考慮すると,控訴人において,上記退職申出後直ちに被控訴人の他の店舗に異動して就労することは困難であったと認められるのみならず,控訴人に対し,平成18年7月から本件訴えを提起した日である同年12月20日までの約6か月の間に被控訴人から離職すること又は被控訴人以外の就職先を早期に探して就職することを決断すべきであったというのも控訴人に難を強いるものであるといわざるを得ず,控訴人が精神的に回復して再就職するまでには少なくとも6か月程度の期間を要するものと認めるのが相当である。したがって,控訴人の平成18年7月の給与手取額は16万5936円であるから…,これの6か月分(99万5616円)相当程度の逸失利益として99万5616円の損害を認めるのが相当である。」
⑶ 弁護士費用 20万円

以上です。

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