高浜仮処分決定批判批判⑤宮﨑慶次大阪大学名誉教授

  • 2015/05/21
  • 鹿島ブログ

宮﨑慶次大阪大学名誉教授は,高浜仮処分決定について,次のように痛烈に批判しています。

「福島第1原発事故の教訓をもとに行政庁や電力会社が積み上げてきた科学的議論を,先入観をもとにした無見識な判断ですべて否定した。司法の暴走としかいいようがない」「司法が三権の一つとして自ら判断を下すのであれば,専門家の意見にも耳を傾けるべきだ。机上で書面を読んでいるだけの裁きを続ければ,司法の権威を損なうことになりかねないだろう」

http://www.sankei.com/west/news/150414/wst1504140095-n1.html

 

実は,関西電力は,この宮﨑教授の意見書を,高浜仮処分決定が出された4月14日の3日後の4月17日に提出しています。これ,決定前に意見書出せたんじゃないでしょうか?宮﨑教授は,この意見書で大飯訴訟判決をいっそう痛烈に批判しています。

「新基準への適合性や規制委員会による審査の適合ではなく,具体的危険性が万が一でもあるかが判断の対象とし,さらには,この判断には必ずしも高度の専門的知識を要しないとして原子力専門家の専門的知見が安全性の判断に関係ないかのように断じられている。これには全く納得できない。原子力工学研究者として,高度の専門的知識を目指して研鑽を積み重ね,時には海外の施設を見学し討論もしてきた者に対する侮辱的とも思える表現であり,科学技術の全否定または全人格否定にも等しい不当な指摘であり看過しえないし,また,強い義憤の念を禁じ得ない。」

…すごい憤りようですね。「科学技術の全否定または全人格否定にも等しい」と述べていますが,「科学技術」ではなくて宮﨑教授自身が全否定されたかのように感じているのではないでしょうか?もしかしたら,宮﨑教授にとっては,「自分=科学技術」なのかもしれませんが…

 

宮﨑教授は,裁判所に自分の意見に耳を傾けるべきだと言っているようですので,異議審の審尋期日で是非お話を伺いたいと思います。

 

タイトルに偽りありですが,目下,この宮﨑教授の意見書に対する反論書面を作成中で,ブログで具体的な批判を行うことができません。代わりにはなりませんが,週刊新潮2011年4月28日号「鎮まらぬ『福島第一原発』専門学者4人に訊く」に掲載された宮﨑教授の発言を下記のとおり引用して終わらせて頂きます。

圧力容器やその外側にある格納容器については、2号機の格納容器を除いて損傷は無いようです。もしどこかに穴でもあれば、容器内の圧力に大きな変化が見られるはずですが、いずれも現在その圧力は安定しているようです。
燃料が溶け出す「メルトダウン」の危険性についても言われていますが、注水によって燃料棒が冷やされている現状では、その可能性はまず考えられません。
圧力容器内に燃料棒が入っていたのは1~3号機。それぞれ燃料の70%、30%、25%が損傷していると言われており、ここでも本当に燃料が溶融しているならば、ウランをはじめプルトニウムなどが検出されるのですが、現在の放射性物質の値を見ても、これらは多量には検出されていません。一時、プルトニウムの検出が報じられました際も微量で、本格的に溶融していれば、このような低い値ではすみません。
現在、炉内の温度はまだ不安定な部分もあるものの、最高でも300度、直近ではもっと低い温度で推移しています。一方で、ウランは2800度、プルサーマルに使われるウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX燃料)も2700度まで上がらないと溶け出しません。
この時、ドロドロに溶けた燃料が一気に水に触れることで大量の水蒸気が発生し、「水蒸気爆発」が起きて圧力容器や格納容器を破壊するのでは、という意見があります。しかし、そもそも圧力容器には通常で70気圧という非常に高い圧力が掛かっているため、たとえ水蒸気が生じてもかなり抑えられ、爆発に至らないのではと思われます。
事故後、確かにその圧力は10~30気圧に下がっていると報じられていましたが、それでも依然高く、抑制効果は十分あると思います。また、通常で70気圧が掛かっている容器ですから、かりに水蒸気爆発が起こったとしても耐えられるのではないでしょうか。
万が一、圧力容器の水位が下がって燃料棒が長時間露出し、燃料が溶け出したとしましょう。この時、溶融したウラン燃料が容器内に落ちて溜まって「溶融プール」を作り、それが圧力容器を溶かしてしまい、燃料が圧力容器の外に漏れ出す「メルトスルー」が起こるのではないか、などという声も一部では出ています。
しかし、燃料が溶融する前に被覆管が耐えられなくなり、燃料を焼き固めた「ペレット」が先に崩れてしまうことで底部に溜まっていた水に冷やされるため、大量に溶融したプールはそもそも作られないでしょう。もし一部で溶け出しても、途中にはステンレス製の分厚いプレート「炉心支持板」や制御棒連結部があり、そこが先に損傷するでしょう。ですから、溶けた燃料が底に落ち、圧力容器を貫通するには、かなり時間がかかると考えられるのです。
さらに、さきほどの水蒸気爆発とは別のパターンとして、燃料が溶け出して圧力容器を貫通した場合、格納容器の底部にある「圧力抑制プール」に浸かって、大量の蒸気が発生し、格納容器を吹き飛ばす事態を危惧する人もいます。しかし実際には、圧力容器のすぐ下にはコンクリートのプレートが敷いてあり、万が一外に燃料が洗出しても、まずはここでブロックされるはずです。
ちなみに、建屋が吹き飛んだのは、「水素爆発」によるもので、水蒸気爆発ではありません。実は、格納容器は100%密閉されているわけではなく、水素など極めて軽い物質は外に漏れてしまいます。地震後に冷却装置が働かず、非常に高温になってしまった被覆管と、周囲の水蒸気が反応してしまい、水素が大量に発生したため、それが格納容器の外に漏れ出して、建屋が爆発したのです。

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