高浜仮処分決定批判批判②入倉孝次郎京都大学名誉教授

  • 2015/04/20
  • 鹿島ブログ

入倉孝次郎京都大学名誉教授は,高浜仮処分決定について,福井新聞の取材に対し,次のように発言したということです。

「全くの事実誤認。決定文にある発言は、新聞記事を元に原告が曲解して書いているものが引用されている。正しい理解のために正確に引用してもらえず非常に残念」と述べた。

決定文で「地震の平均像を基礎として基準地震動を策定することに合理性は見いだしがたい」と信頼性を疑問視している点について、入倉名誉教授は「基準地震動は地震の平均像を基礎にして決めていない」と否定した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150415-00010001-fukui-l18

 

それでは,まず,高浜仮処分決定の該当部分を見てみましょう。

「活断層の状況から地震動の強さを推定する方式の提言者である入倉孝次郎教授は,新聞記者の取材に応じて,『基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが,そうではない。』『私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが,平均からずれた地震はいくらでもあり,観測そのものが間違っていることもある。』と答えている。」(31頁)

続いて,決定文が引用する入倉教授の発言を見てみましょう。2014年3月29日の愛媛新聞に「基準地震動を解く」という特集記事の第3弾として掲載されたインタビュー記事で,入倉教授は,伊方原発の基準地震動Ss570ガルについて,次のように述べています。

「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが,そうではない。資料を見る限り,570ガルじゃないといけないという根拠はなく,もうちょっと大きくてもいい。」

「570ガルはあくまで目安値。私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが,これは地震動の平均像を求めるもの。平均からずれた地震はいくらでもあり,観測そのものが間違っていることもある。」

…決定文の引用と新聞記事での発言は同じだと思うのですが,原告がどのように曲解したというのでしょうか?

なお,入倉教授は,同新聞記事で続けて次のように発言しています。

「基準地震動はできるだけ余裕を持って決めた方が安心だが,それは経営判断だ。」

…基準地震動は経営判断で決められているという,恐ろしい本音です。

 

私たちは,何もこの新聞記事だけを根拠にして,「地震の平均像を基礎としてそれに修正を加えることで基準地震動を導き出している」と主張している訳ではありません。

入倉教授自らがまとめた「強震動予測レシピ」という論文も証拠として提出しています。

例えば,この論文における断層パラメータに関するスケーリング則を見ても,平均像を基礎としていることは明らかだと思うのですが…

図1

入倉教授には,私たちがどのように入倉教授の発言ないし考え方を曲解しているのかを是非教えて頂きたいです。

 

なお,入倉教授は,2014年5月21日に大飯判決が出た際,毎日新聞の取材に対し,次のように発言しています。

「揺れの強さが1260ガルを超える地震が絶対来ないとは言い切れず,警告を発する意味で重要な判決だ。しかし,判決は科学的に十分精査しているとは言えない。新規制基準に基づき,関電は冷却システムが損傷するリスクを最小にする対策をとっているが,裁判官への説明が不十分だったのではないか。」

おそらく,入倉教授は,地震学者として,基準地震動ひいてはクリフエッジを超える地震が到来する危険があることは認めざるを得ないため,工学的な見地から原発の安全性を考えている方なのだろうと推測します。残念ながら,入倉教授は,工学が専門ではありませんが…

 

(2015年5月21日追記)続報記事を書きました。
高浜仮処分決定批判批判④入倉孝次郎京都大学名誉教授(続)

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