高浜仮処分決定批判批判①田中俊一原子力規制委員会委員長

  • 2015/04/20
  • 鹿島ブログ

田中俊一原子力規制委員会委員長は,高浜仮処分決定の翌日である4月15日,定例記者会見で下記発言を行いました。

https://www.nsr.go.jp/data/000104036.pdf (7頁)

○田中委員長 私も細かいことを全部調べているわけではありませんが、耐震重要度分類で給水設備はBだと書いてありますけれども、これはSクラスです。

 

田中委員長が指摘していると思われる,決定文の該当部分を見てみます。

「本件原発の安全施設,安全技術には多方面にわたる脆弱性があるといえる。そして,この脆弱性は,①基準地震動の策定基準を見直し,基準地震動を大幅に引き上げ,それに応じた根本的な耐震工事を実施する,②外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする,③使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む,④使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性をSクラスにするという各方策がとられることによってしか解消できない。」(44頁)

確かに,④で使用済み核燃料プールの「給水設備」の耐震性をSクラスにすべき旨書かれています。

しかし,この部分の元になった決定部分を見てみます。

「債務者は,電源を喪失しても使用済み核燃料プールに危険性が発生する前に確実に給水ができると主張し,また使用済み核燃料プールの冷却設備は耐震クラスとしてはBクラスであるが(別紙3の別記2の第4条2二参照),安全余裕があることからすると実際は基準地震動に対しても十分な耐震安全性を有しているなどと主張しているが,債務者の主張する安全余裕の考え方が採用できないことは2(2)オにおいて適示したとおりであり,地震が基準地震動を超えるものであればもちろん,超えるものでなくても,使用済み核燃料プールの冷却設備が損壊する具体的可能性がある。」(43頁)

このように,使用済み核燃料プールの「冷却設備」の耐震クラスがBクラスであると書かれています。さらに,上記で参照として引用されている別紙3(「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則の解釈」の制定について)の別記2の第4条2二にも「使用済燃料を冷却するための施設」と書かれていることからすれば,裁判所は,使用済み核燃料プールの「冷却設備」の耐震クラスがBクラスであることを問題にしているのであり,44頁の「給水設備」という記載は,「冷却設備」の誤記であることは明らかであると思います。

裁判所の決定文に誤記があることに問題がないとは申し上げませんが,このようなミスを指摘して鬼の首を取ったかのようにいうことにどれだけ意味があるのかと感じてしまいます。同じように田中委員長の発言の揚げ足取りをするのであれば,決定文には「耐震重要度分類で給水設備はBだと書いて」ありませんねということになります。

ここでの真の問題は,使用済み核燃料プールの冷却設備をBクラスのままにしていて良いのかという問題であり,田中委員長には,この問題に対して正面から回答して頂きたいと思います。

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